「本当にちょっとか?」
「え、周様⁉︎」
突然、混じってきた声に振り返って驚いた。
なんで、周様が用具室に?
今は、学習室で勉強をなさっているはずなのに。
「間違えて渡してはいけない資料を渡してしまったから、探しにきた」
「どの資料ですか?」
律果くんの問いに周様は何も言わず、資料の束を掴むと、すごい速さでめくり、一つの書類が見えた時、手を止めた。
「これだ」
あの速さで見えているなんて、動体視力すごいな。
「もう戻るが、口を動かすより、手を動かせ」
「はい。申し訳ございませんでした」
「申し訳ございませんでした」
律果くんに続き、わたしも頭を下げる。
頭を上げると、もう立ち去ったかと思った周様がわたしを見ていて驚いた。
えっ、なになに。



