周様は、他より、わたしに当たりがキツいらしい。
律果くんに言われて、初めて知った。
クールな人ではあるけど、普通に優しいと思っていたけど、当たりがキツイのか。
そんな気はしないんだけどなぁ。
え、わたしの居ないとこでは、なんか言っていたりするの?
でも、それは当たりがキツイではないか。
周様に嫌われているのは嫌だけど、実際どうなんだろうな……。
「おはようございます、周様」
「おはようございます」
「おはよう」
朝。車で屋敷まで迎えに行く。
周様はいつも通りだ。
挨拶だけして、すぐに車に乗り込み、その後話すことはない。
「安藤」
「はい」
「迷惑をかけるなよ」
「はい」
学校について言われたのも、それくらい。
たいして話さないけど、それは律果くん相手も同じ。
当たりがキツいの前に、関わっていないって感じだ。
下駄箱に向かうと、律果くんの下駄箱には、いつも通りラブレターが詰まっている。
周様宛てのラブレターが、律果くんの下駄箱に届けられているのだ。
同じ使用人なのに、何故かわたしの下駄箱にはない。
「今日も、すごい量だね」
「そーだね」
律果くんは、手紙を邪魔そうにしながら、靴を履き替えている。
「オレ、周様についていくから」
「はーい。ちゃんと運びます」



