放課後、周様と律果くんは、部活が有るから帰るまでには時間がある。
チューリップ会のオーディションが行われる第三音楽室には、はなびが案内してくれた。
「はなび、案内ありがとう」
「いいよー、結果教えてね」
部活に行った、はなびと別れる。
わたしは出演者になりたいわけじゃないから、外で人の出入りを見てよう。
そう思っていたのに、声をかけられた。
「あら、貴女も参加者? 待つなら中よ」
「いえ、わたしは……」
断ろうとするけど、その前に、ほらほらと背中を押され、音楽室の中に入ってしまう。
えー、どうしよう!
番号札を渡され、オーディションに受ける人達の集まりの、端に案内され座らされる。
オーディションに参加する人は、いろんな色、模様のリボンやネクタイをしていた。
ちょっと離れたところに何人かノーブルの人だけが集まった席があるけど、あの人達が審査員なのかな?
オーディションを受ける人の中にも審査員の中にも、残念な事に御影くんは居ない。
だから、ここに居る意味なんてないのに、もうこの部屋からは、退出できなさそうで困った。
これは、頑張ってみるしかないか。
「時間になりました。チューリップの会パーティー、出演者オーディションを始めます。制限時間は一人五分。審査は全員の発表を見てから、結果を出します。それでは、一番の番号札の人から」
一番の番号札を持った人が立ち上がる。
音楽室には、ステージがあり、近くにはいくつかの楽器が置かれていた。
一人目の彼女は、ピアノを演奏するらしい。
自己紹介をした彼女は、ステージ端のピアノの前に座り、演奏を始めた。
うわー、上手い。
彼女が演奏しているのは、ピアノ上級者のクラシック曲だけど、なんなく演奏している。
これ、みんなこのレベルなの?
やばいなぁ。
「ありがとうございました。それじゃあ、次の二番の人」
一人目の彼女の演奏が終わり、オーディションは進んでいく。
ピアノ、声楽、バイオリン、ダンス、マジック。
みんな、優れた腕前を持っているから、感嘆のため息が溢れると共に、わたしの番が怖くなる。
わたしは、サイコキネシスじゃなくて、手を意識的に使う練習として、マザーにピアノを習っていたけど、あそこまでの技術は持っていない。
サイコキネシス使えば、わたしが弾ける曲より難易度高い曲も弾けるけど、指までしっかりと見られているみたいなので、使うことはできない。
ここでわたしが演奏しても、「うわ下手くそって」なりそうで怖いな。
ただでさえ、周様のメイドとして評判悪いのに。
「次の方」
悩んでいると、わたしの番が来てしまった。



