「え?」
な、な、律果くんは何を言っているの⁉︎
ビックリしていると、何かを投げられる。
「わぁ」
顔の前に投げられたそれは、顔の前で止まった。
止めてしまった。
あ、ハンカチか。
危ないと思って無意識にサイコキネシスを使ってしまったけど、ハンカチだど分かったら、ゆっくりと落ちていく。
「やっぱり、寧色って超能力者なんだ」
まっすぐ見つめてくる律果くんにわたしは、
「えへへ」
笑うしかできなかった。
「周様知っているの?」
「知らないです」
これは、もう誤魔化せないよなぁ。
「曾お爺さま、えっとご隠居様くらいかな。知っているのは」
「ああ、ご隠居様に連れてこられたの、それが理由?」
「うん。元々サイコキネシスが使えてね。なんか、人の為に使いたいなって思ってたら、メイドの仕事どう? って感じで」
「へー。使えるのは、サイコキネシスだけ?」
「うん、それだけ。それで、サイコキネシスが使えるのは秘密にして欲しいです!」
わたしは、手を合わせてお願いする。
「いーよ、秘密にする。周様にも言わない方がいいの?」
「うん。言わないでほしい」
超能力が使えることは内緒にするように、ってマザーに言われている。
律果くんには、なぜかバレちゃったけど、これ、マザーに知られたら怒られるかなぁ?
「ちなみに、律果くんはなんで分ったの?」
「今日、お前に向って行ったヤツが変な転び方したなとか、車がひっくり返るにしては辺りに何も無かったなとか、そういえば昨日、学習室の入口の方でワゴンを倒していたのに窓は閉まっていたなとか」
「わぁーー」
うまくやれていると思ったのに、全然ダメなのが分かって恥ずかしさで顔を隠す。
「周様はまだ気づいて無さそうだったけど、今のままだと気づかれるから、気をつけなよ」
「気をつけます」
でも、周様を守れたのは良かったし、美味しいケーキを食べれたのも良かったし、今日はいい日だったよね。
ならば、良し!



