「今日の事だけど、周様が誘拐された時、安藤がいて良かった」
「わたしがいなくても何も変わらないですよ」
本当は、わたしが居なかったら大変だっただろうけど、そのことは秘密だ。
「周様、助かってよかったですね」
「ああ」
律果先輩は頷くと、頭を下げた。
「ごめん」
「え、何がですか?」
突然のことに驚いた。
わたし、律果先輩に何か謝られる様なことされたっけ?
「昨日、帰れとかいったでしょ。それだよ」
律果先輩は気まずく思っているのか、目をそらして話す。
「安藤には、帰れないとか、帰りたくないとか、色々有るかもしれないのに、帰れって言ったのはよく無かったなって」
「そんな事気にしてたんですか?」
気にした様子の律果先輩は子供っぽくて、思わず笑ってしまう。
完璧執事だけど、見た目通り、まだ中学一年生の男の子の面もあるんだ。
「そんな事って」
律果先輩は、ムッとする。
「大丈夫ですよ。わたしは、好きでメイドになりました。帰れないとか帰りたくないとかは無いです。反対されてたから、こんな早くは帰りづらいとかは有りますけどね」
わたしの言葉に、律果先輩は後ろに倒れ、背もたれに体を預けた。
「はぁ、そんなんかよ。気にしなきゃ良かった」
「気にしててくれたんですね。ありがとうございます」
律果先輩は体を起こし、わたしを見た。
「いーよ」



