紅茶のポットやカップを取り替え、部屋に戻る。
次の先生が来るまで、まだ時間が有るから大丈夫と思うけど、一応ノックする。
――コン、コン、コン
返事はない。
「失礼します」
それでも声をかけて部屋に入ると、
「え!?」
部屋の中を見てびっくりしてしまった。
開けた窓から入る強い風で、部屋の中で何枚もの紙が飛んでいる。
わー、やばい、やばい!
窓、閉まって!
慌ててサイコキネシスを使って、遠くの窓を閉める。
部屋中に散らばる紙を集めなきゃ!
急いで部屋に入ろうと、ポットやカップが置かれたワゴンを押すと、タイヤが上手く回らず、ワゴンを部屋の中で倒してしまう。
「あっ」
ガシャン!
ワゴンは止める間も無く倒れてしまい、カップ達は割れ、ポットの紅茶が絨毯とメイド服の裾を濡らす。
やばい、やばい!
しゃがんで、ワゴンを戻す。
あっ、紙に紅茶かかってたら、どうしよう!
紙!
近くにあった紙を浮かせて引き寄せて見る。
……良かった! どれも濡れてなさそう。
ほっとしたのもつかの間、外から歩く音と談笑する声が聞こえる。
え、もう来ちゃう⁉︎
ガチャリ、ドアノブを回す音がしたから、浮かせていた紙を遠くの方に飛ばしておく。
振り返ると、ドアを開けた律果先輩と目が合った。
律果先輩は、部屋の惨状を確認すると「こんなこともできないのか」と言う様な目で、わたしを見る。
わたしはきっと、青い顔をしている。
ドアがバタンと閉められる。
「周様、申し訳ございませんが準備が整っておりません。この後の授業は、二階自習室でも構いませんか?」
「ああ」
「それではこちらへ」
ドアの外からは、そんな声が聞こえた。
律果先輩、この部屋を見せる事無く、スマートに誘導した。
周様も察したのか、この部屋で授業を受ける予定だったのに、何も言わずに誘導されていってた。
……やっちゃった……片付けしなきゃ。
カップやポットの割れた破片を浮かして、ワゴンの上に乗せていく。
溢してしまった紅茶も浮かせられたらいいんだけど、それはできないから、後で雑巾とか持ってこなきゃ。



