孤高の総帥は初めての恋に溺れる

エレべーターは一番上の階に直接行ける
ようで８しか表示がなかった。

専用のエレベーターなんだとそれにも
びっくりした穂香はでもラッセルグループの
総帥なんだから当たり前かとも思い直した。

シンガポールフライヤーも貸し切りで、
ナイトサファリも３台のトラムも貸し切って
車はロールスロイスの運転手付きで、滞在
していたアイランドリゾートの部屋は、
見たことが無いような極上の部屋だった。

後で洗面とバスも参考に見ておけば
よかったと後悔した穂香だった。

きっと5人は楽に入れる巨大なジャグシーで
ひょっとしたら黄金のバスだったかもなんて
思ったりしていたのだ。

そんな碧斗の住む部屋ならどんな事になって
いるのかその辺は少し楽しみでもある。

８階には一部屋しかない。

それはまあ、想像の範囲内ではある。

中もだからだだっ広いに決まってる。

玄関だけでも穂香の一人暮らしの部屋全体が
すっぽり入る大きさだ。

玄関を入ると直ぐ右側にすりガラスに男性の
靴がエッチングされたドアがある。

きっと６畳くらいあるシューズクロークに
なっているんだろう。

穂香の感覚では６畳のシューズクロークが
目一杯想像できるシューズクロークとして
の広さなのだ。

実際はその倍くらいあるのをあとで知って
びっくりすることになるのだが…

どれだけ靴があるのか好奇心旺盛な穂香は
シューズクロークが気になって仕方がない。

ラッセルグループ総帥のお宅なのだ勝手に
ドアを開けてみるわけにはいかない。

勿論、普通の友人宅でも勝手にドアなんか
開けないし開けたいと思ったこともない。

玄関ホールを上がると両サイドにまたドア
がある。そこはきっと洗面とトイレだろうと
普通のマンションならそうなるはずなのだが
普通のマンションであるはずがない。