宵にかくして




「ありがとうごさいます……!」

「……あんた、よくバカ正直って言われない?」

「?秋月くんに初めて言われました……」



秋月くんの指の隙間から覗く頰はじわりと赤くなっていて、ゆるりと垂れ下がった目尻もやさしい形をしている。


そんなやわらかい表情が宗栄さんと重なって、やっぱり家族だなあ……なんて微笑ましい気持ちに包まれていれば、────……あおい、と、ぎこちない声音を編んで、ゆっくりと紡がれた名前。

 

「……早くおれの名前書いて」

「っ、はい」


初めて苗字で呼んでもらえたっ、うれしい……!


ずっと"あんた"と呼ばれていたから、秋月くんは私の名前なんて覚えていないのだと思っていたけど、杞憂だったみたいだ。