宵にかくして




初めて朝食を作ろうとした前日の夜、吉良くんと不和くんのふたりに好き嫌いを尋ねたときのこと。


不和くんは甘いものならなんでも、と答えると、そのままラウンジのソファーで寝落ちしていた。その隣でスマホを触っていた不和くんは、ちらりと私を一瞥すると、またすぐに視線をそらして。



『おれの分はいらない。人の手作り無理だから』


吐き捨てるようにそう言うと、彼は興味を失ったように再びスマホに視線を落としてしまった。
 

ずき、と胸の奥が痛んだけれど、この反応は仕方のないものだと思う。


こうやって怪しまれている以上、どこの誰かも分からない人間が作った料理なんて、不和くんにとっては恐怖でしかないのだろう。
───────……ということがあり、不和くんだけには市販のパンかおにぎりを用意していた、のだけど。