宵にかくして




「さーな、……おはよ」



後ろからぎゅっと抱きつかれて、……背中に感じる微かな重みと、聞き慣れた甘やかな声音。


こんな無防備な距離感でふれてくる相手なんて、ひとりしかいないの。


─────もう、なぎ兄〜……!
 


「あ、の、凪さん……?!」


男装している手前、呼び方は"凪さん"と"茅さん"で統一しているけれど、呼び慣れないそれらにどうしてもむずむずしてしまって、思わずなぎ兄、と口からこぼれてしまいそう。


きこちなくも振り返れば、悪戯っぽく細められた瞳とぶつかって、ひやりと背筋が凍る。


……ほんとうに気づいてないんだよね、なぎ兄お得意のスキンシップ(?)だと信じるしかない……!