宵にかくして




ぎゅっと手を握りしめながら頭を下げれば、そのまま数秒ほど無言の空気が続いて、そして。



「――昴」


宵宮さんが、そっと不和くんの名前を呼ぶ。

決して声を荒らげたわけではないけど、……その場の空気を一瞬で支配するような、こちらの意識をまるごと取り込んでしまうような、そんな声。
 


「"俺"が許可を出してる。……それ以上の理由が必要か?」


「、それは、」
  
「サナの身元は俺が保証する。
……何かあったら、全責任は俺が取る」
 
「……っ、」



力強く発せられたセリフに、ぎゅう、と心臓が締め付けられる。隠しごとばかりなのに、……ほんとうは、宵宮さんに守ってもらう資格なんてないのに。