⋅.˳˳.⋅˙ॱᐧ.˳˳.⋅ઇଓ ࣪˖ ִֶॱ⋅.˳˳.⋅˙ॱᐧ.˳˳.⋅ઇଓ
ぼくは雨の中を飛んだ。
ルークだった頃のぼくの脚は誰よりも速くて、雨であろうと嵐であろうと、あの丘から屋敷まで、それこそものの数分で着くことができた。
しかし、今は。
ぼくはびしょ濡れの羽根で、すでに寿命の近い蝶の体を必死にはためかせながら屋敷を目指した。やっと辿り着いたとき、ぼくは枯葉のようにみすぼらしい姿になっていた。
しかし、グラント将軍を見つけるまでは、諦めなかった。
果たして、グラント将軍は侯爵邸の客間にて、侯爵夫人を相手に似合わないお茶を手に取っているところだった。
豪奢な客間に突然ふらふらと入ってきた蝶を認めるなり、グラント将軍は手をとめた。
「お前は……いつもアイリーン姫のそばを飛んでいた……」


