三日前まで、ぼくは君の忠実なるしもべであり、君を守る騎士だった。
 でも今、ぼくの体は土の中で眠り、君はぼくの墓標を抱いて涙に暮れている。ぼくはただ、君を愛するだけの蝶になった。



 ॱ⋅.˳˳.⋅˙ॱᐧ.˳˳.⋅ઇଓॱ⋅.˳˳.⋅˙ॱᐧ.˳˳.⋅ઇଓ



 自分が蝶になっていることに気づいたのは、ほんの数時間前だ。おそらく蝶が「孵化」というのをする瞬間だったと思う。
 ぼくは宙に飛び立った。それは奇妙な感覚だった。

 これまで大地についていた足がなくなり、大きな羽根が背中でゆらめく。
 ぼくは……空を飛べる。

 それは本能で、だれに教えられるでもなくぼくは翼を広げた。ひら、ひら……。最初はあわれを誘うほど頼りなかった飛翔は、すぐに軽やかで自由になった。
 ひら、ひら、ひら。

 そして、ぼくはすぐに君を見つけた。

 若草の美しい丘で。
 君はぼくの名前の刻まれたまだ真新しい墓標を抱いて、しくしくと悲しみの涙を流しているところだった。