三十一音の星を集めて

だってなんにも知らない。

読書と星が好きなことを新たに知ったとしても、情報が少なすぎる。



駅前のコンビニエンスストアのバックヤードで、アルバイトの休憩時間、三ツ橋くんの手紙を思い出す。

私はちょっとニヤけてしまった顔をぱちんと両手で挟んで、誰にも見られていないことを確認しつつ、真顔に戻った。



「梶山さん、レジ対応お願い」
と、パートの田村(たむら)さんに呼ばれる。



店内に戻ると、わりと混んでいる。

レジの前に立ち、商品のバーコードを次々読み取り、お会計を済ませていく。



「あらー、どこに置いてあるのかしら」
と、店内の入り口付近で、グレイヘアが印象的なおばあさんが言う。



何かの商品を探しているらしく、店内をキョロキョロしている。

手伝ってあげたいけれど、レジ前には列が出来ていて、すぐにはおばあさんのところへは行けない状態。

もどかしく思いながら、バーコードを読み取っていると、
「あの、お手伝いします」
と、レジに並んでいた県立J高校の制服を着た男子がおばあさんに声をかけた。