三十一音の星を集めて

その気持ちを伝えられるなら、イタいと思われても構わないから。

文字が少しだけ震えていたけれど、勇気を出した自分を褒めたいとも思った。



そして私は今日、アルバイトが終わったらその手紙の返事を持って、登校するつもりでいる。



【三ツ橋 隼人くんへ

初めまして。

私の名前は梶山 さちほです。

メモ帳を返してくれたことや、短歌を褒めてくれたことが嬉しかったです。

ありがとう。



みんなとは少し違うが気にしない
緑に混ざる小さな桜



春が終わる頃に詠んだ短歌です。

まだ短歌は始めたばかりなので、手探り状態ですが、あなたの言葉に背中を押された気持ちです。

梶山 さちほ】



手紙を机の中に忍ばせる時、ほんの少し指先が震えた。

男の子に手紙を書いたことも初めてだし、自分の短歌を誰かに読まれることもくすぐったい。

だけど、三ツ橋くんに読んでほしいと思っている自分は、確かにここにいる。