三十一音の星を集めて

仮に三ツ橋くんが目の前にいたとしても、私にはわからないけれど。

だって、顔を知らない。

知っているのは彼の氏名と、県立J高校の全日制に通っている二年生ということ。

角ばったキレイな文字を書くこと、言葉遣いが優しいこと。

逆に彼が知っている私は、短歌を作っている県立J高校の定時制の生徒ってことだけ。

もしかしたらイタいとか思っているかもしれない。






事のはじまりは、三日前。

いつものように17時頃、登校した。

四時間の授業を受け、帰ろうと荷物をまとめている時だった。

提出物のことで先生に呼ばれて、慌てたことがいけなかった。

作った短歌を書き記したメモ帳を、机の引き出しに入れっぱなしにしたまま、気づかずに帰ってしまった。

翌日登校した時、真っ先に机の引き出しを探ると、茶封筒が入っていた。



なんだこれ、と恐るおそる開けてみると、私のメモ帳と共に手紙が入っていた。