三十一音の星を集めて

「すみません、大丈夫です……」
と、彼は言うけれど、明らかに体調を崩している。



それでもお会計を済ませて、店を出ようとした彼の足がフラついた。



「大丈夫じゃないですよ!」
と、かけ寄ったら、彼がその場にしゃがむように倒れた。



「梶山さん、バックヤードに連れて行ってあげて!」
と、田村さんに言われ、私は彼の腕を自分の肩に回し支えつつ、どうにか歩いてバックヤードのソファーに座らせた。



「すみません……」
と、申し訳なさそうにメガネのズレを直す彼の頬が真っ赤だった。



「あの」と、彼が私を見る。



「うつるといけないから」

「えっ?」

「この間から家族が次々風邪を引いてしまっていて、ぼくだけ元気だったんです。昨日まで学校を休んで看病と家事をしていたんですが、今朝はついにぼくが……」

「そうだったんですか」

「病院でただの風邪だって言われましたが、あなたにうつるといけないから、ぼくは帰ります……」