三十一音の星を集めて

「……まぁ、気長に待ちなさいってことよ。慌てても良いことなんかない。梶山さんのお誘いは、決してウザくないから大丈夫〜」



田村さんがそう言ったすぐあとに、誰かが入店し、店内に静かな音楽が流れた。

私達は仕事モードに切り替える。



入店してきた人は、私には見覚えがあった。

少し前、グレイヘアのおばあさんに商品案内をしてくれた丁寧なJ高生だ。

今日は私服姿な上にマスクもしているけれど、あのやわらかそうなふわふわパーマでわかった。



(なんで私服? 学校は?)



今日は水曜日。

祝日でもないし、平日だ。

創立記念日とか?

いや、でもそれは今日じゃないと思う。



彼は飲料水を持って、私のレジ前に立った。



「お願いします」
と、言った声がガラガラ声で驚いた。



商品を受け取ろうとして、ふいに彼の指に触れてしまった。

ものすごく熱い。



「あの、大丈夫ですか?」
と、思わず尋ねてしまった。