さっちゃんの足跡

 ここは体育館です。 今はシートが敷かれて講堂になってます。
今日は3月8日。 卒業式の日です。
 さっちゃんもいよいよ小学部を卒業するんですねえ。 おめでとう。
もちろん今日 祝ってもらうのはさっちゃんだけじゃありません。
 幼稚部、小学部、中学部、高等部普通課、保健理療課、専講課理療課 それぞれの卒業生が集まっています。
 一人ずつ卒業証書が手渡されていきます。 感動しますねえ。
一般校と違うのは専講課以外は同じ学校内を移動するだけだってこと。
 小学部は2棟の1階なんですけど中学部はその2階なんです。 だから卒業して会えなくなるわけじゃありません。
だから何となく寂しいって気にはならないんですねえ。 普通課や保健理療課までは進学式って言ってもいいくらい。
本当に居なくなるのは専講課理療課くらいです。
 さっちゃんも卒業証書を渡されて教室へ戻ってきました。 お疲れ様。
「今日はいよいよ卒業です。 小学生気分も今日が最後です。 分かってますか?」
担任の成広先生も今日は真面目な顔です。 「来月からは中学生なんです。 制服を着て頑張ってくださいね。」
 6年生の担任を何度もやってきた成広先生はそう言って笑顔で送り出してくれました。
 寄宿舎も取り敢えずは荷物をまとめて帰らなくてはいけません。 大変なんですよ。
ママも久しぶりに寄宿舎にやってきました。 「さあ、さっちゃん 荷物をまとめたら帰ろうか。」
 廊下へ出ると高校生だった吉沢美穂さんが話し掛けてきました。 「さっちゃんも帰るの?」
「うん。 そうだよ。 吉沢さんはどうするの?」 「私ねえ、これから大阪の盲学校を受験するんだ。」
「大阪? ああ言ってたね。 音楽の勉強をするんでしょう? すごいなあ。」 「すごくないよ。 私は趣味だから。」
「でもすごいよ。 私なんてホラ吹きしか出来ないから。」
ママはそれを聞いて思わず目が点になりました。 (おいおい、それは無いだろう。)
 そんなわけでさっちゃんも家に帰ってきたわけです。 「今日はお祝いだね。」
「そうなの? なんかさあ、卒業したって感覚が無いんだけど、、、。」
それを聞いたママはまた目が点になるのでした。