漂う花は、還り咲く


「よろしくお願いします」


今の私の全力を出し切るだけだ。


「始めるぞ」

凛月はわずかに目を細めて、そうひとこと。


構えもなく、重心だけをすっと落とした。
たったそれだけで、“本物“だとわかる。

すでに隙はない。

立っているだけなのに、周囲の空気ごと支配しているみたいだった。



私はというとーーぎこちないながらも、足を少し開いて姿勢を整える。


息を吸って、吐いて。


ほんの一歩の間合いを、慎重に読む。



凛月が動いた。

重心を落としたまま、踏み込みもなく距離を詰めてくる。


「っ!」


私は反射的に体をひねって避けた。


避けれた…!と思った次の瞬間には、凛月のもう片方の腕が横から迫ってきていた。


息を呑む暇もない。

けれど私は、また反射的に一歩下がってバランスをとる。


滑るように足が動いた。頭で考えるよりも先に、体が判断していた。