「本当は、ドキドキ、してる……っ」
……だからもう、千紘くん本人にも、素直に気持ちを伝えるしかないみたい。
「……っ、なんでそんなにかわいーの」
「別に、かわいくなんか……っ」
「かわいいって言ってんの。
それも早く認めなよ。無自覚なの困ってんのこっちは」
無自覚……?私が……?
そんなことは、ないと思うけど……。
それなら、私の気も知らずにたくさんキスしちゃうような千紘くんの方が、無自覚なんじゃないの?
……んー、分からない……。
「ゆあ、俺が離れたくないって言ったら、どうすんの?」
離れたくないって言ったら、どうする……?
私は触れてたいって、思うんだけどなあ……。
でも、そんなわがまま、言っちゃいけないよね。
なんて思いながらも、私は千紘くんの裾をぎゅっとつかんで、抱きしめる手に力を入れる。
「……期待するよ、俺」
……なんでもいいよ、もう。
好きなように受け取ってよ。
「……やっぱ、離してやれねーわ」
そんな乱暴な言葉。
その言葉通り、私たちは校庭から響く歓声を背に、しばらく抱き合ったままだった。

