俺はほのかちゃんの気を紛らわすために出来ることを考えるため、視線を下に下げた。

昼寝、とか?……っていやいや目の下のクマからして寝られなかったのは一目瞭然だ。
じゃあ、外に出かける……?散歩、買い物、ランチ………。

俺はそんなことを頭の中でグルグルと悩ませて、一つの案に目星をつけて顔を上げた。

「じゃあさ、気分転換にランチに行こうよっ!もうお昼前だし、いいでしょう?」

俺はほのかちゃんの気持ちが少しでも明るくなるように、いつもの数倍元気に言った。

ほのかちゃんは少し考え込んだ後、首を縦に振りながら「もちろんだよっ!行きたい」と言ってくれる。

「よかった。準備できたら玄関に来てね」

俺は Yes の返事をもらえたことに安心して、優しく笑ってそう言った。

ほのかちゃんの部屋を出て、出かけることをソラ以外の二人に伝えるためにリビングへ行くと、二人はソファでグタッとしていた。

今朝、中々部屋から出てこないほのかちゃんとソラをみんな心配して、俺がほのかちゃん、二人はソラを説得しに行こうということになった。

ソラの方に二人が行ったのは、人数が多い方がいいと思ったのと、二人ともソラに伝えたいことがあるかららしいんだけど……。

「二人とも、どうだったの?……見ての通りうまくいかなかったのは分かったけど」

俺は、二人の様子からうまくいかなかったということだけは重々承知の上で聞いてみた。

すると、二人は顔を数秒だけ合わせて僕に向かって言う。

「もう全然だ……あいつがあんなにキレてるとこ、初めて見た…」
「僕も……どうにか気持ちを伝えて説得しようとしたけど、点でダメ。今は手の付けようがないからソッとしておいた方がいいんじゃないかな?」
「そうだな」
「せっかく今日だけは協力しようってことになったのに」
「な」

そんなことを言う二人に、俺は心の中で頭を抱えた。

ソラ……ほのかちゃんにだけはいつでも優しいのに……どうして?

そんなことを思いながら、俺はほのかちゃんと出かけることを口にした。