モカはそれに付け加えて、今度は声を出してこう言った。

「俺、ほのかちゃんに振り向いてほしいんだ……でも、好きな子が弱ってるところに漬け込みたくない」

そう言うモカの瞳には優しさが映っていた。
けれどなぜかモカの耳は垂れている……。

ウサギの耳が垂れているときって……。

私がそんなことを考えていると、モカは「それに」と話を続ける。

「ほのかちゃん、自分の気持ちにさっき気が付いたでしょ?でもね、俺からすると、その気持ちはミケと花園さんを尾行した時からあったと僕は思うんだ」

そう言ったモカに、私は心の中で驚いた。

じゃあ、あの胸がキュッとなったりキュンとなったりしていたのは………『恋』してたからなんだ。

私はそう思い、胸元を抑えた。

ドクンドクンと波打つ心臓。

このドキドキには、その事実を受け入れる怖さとソラに謝って想いを伝えたいという二種類の想いからだった。

するとその時、タイミングよく食事が運ばれてきた。

私はソラに今すぐにでも会いたくて、おいしい料理だということも忘れて勢いよくランチを口に突っ込んでいく。

十分も経たない内に食べ終わった私は、「払っておくから行ってきて」と言って気を利かせてくれたモカに見送られながら、急いでカフェを出た。

私は一目なんか一切気にせず、無我夢中で家に向かって走った。