穏やかな空気に落ち着いて、私はふんわりした気持ちになる。

「いらっしゃいませ。お好きな席にどうぞ」

店員さんがそう言い、二人以上が座れる席があるところに案内される。

私たち二人はその場所の開いている席の一つに座った。

店員さんは「ご注文がお決まりになったらお声をおかけください。ごゆっくりしてくださいね」と言ってその場を離れた。

「私、アイスティーとサンドウィッチにする。ここのサンドウィッチ、おいしいらしいから」
「そうなんだ」

私はモカの返事に頷きながら、メニューを見るフリをしながら考え込む。

考える内容は、もちろん昨日のこと。

ソラ、どうして怒ったんだろう?
それに、私、なんであんなにムキになっちゃたのかな?……自分でもわかんないや。

そんなことを思いながら頭の中で考えを巡らせる。

「…のか………」

私、ソラにあんな風に言われて、胸がギュッてなった……もしかしたら、私……。

そんな考えが浮かんできた。

いやいや、もしかしたら悔しかったからだけかもしれないし!

「ほ……か…ん?」

んんん?名前、呼ばれた?

「…の……ちゃん…ほのかちゃん!」
「へっ⁉」

ハッとして声がした方を見ると、モカが私のことを呼んでいた。

いや、もちろん私の名前を呼ぶのはモカしかいないんだけど……ちゃんと聞こえてなくて。

というか、前にもこんなことあったような……。

「どうしたの?」

そんなことを思いながら、モカにそう問いかける。

「いや、まあ……話したいことが、ね」

そう言って微笑むモカに、私はモカの顔を見た。

「俺、前にも言ったけどほのかちゃんのことが好き」

私はモカの唐突なその言葉に、口をパクパクさせてどれが最善の答えを探していた。

けれど、その瞬間に、こんなに悩むということは……私は…!と言う思いも胸に走った。

私はその時、はっきりと自分の気持ちに気が付いた。

私、ソラのことが―――!

そう思い口にしようとした瞬間、私の唇にモカの人差し指が近づいて、ピトッとくっついた。

口パクで「知ってる」と言われる。