「じゃあさ、気分転換にランチに行こうよっ!もうお昼前だし、いいでしょう?」

モカが明るくそう言った。

そうだな……確かに気を紛らわすには丁度いいかもしれない。
悪いけど、利用させてもらおう。

私はそう思い、モカに向かって笑顔を向けた。

「もちろんだよっ!行きたい」

私がそう言うと、「よかった。準備できたら玄関に来てね」と言い、モカは部屋を出て行った。

私はパジャマから服を着替え、荷物を入れたかばんを持ってドレッサーの前に向かった。

髪の毛を団子に結って、軽くメイクをした。

部屋の電気を消し、部屋を出て玄関に向かう。

そこには、もうモカが待っていてくれた。

「行こうか」

私を気遣ってか、いつもよりもっと優しく言ってくれるモカ。

家を出て、話しながらモカが言ったカフェに向かう。

「ミケとリオは?」
「ソラのこと説得しようと試みてくれたんだけど、弾き返されて落ち込んでるよ」
「そうなんだ……」
「ソラがこんなことになるの、今までで初めてなんだ。一回もなったことがない」
「……そっか。それよりさ、今向かってるカフェって超おしゃれなのにあまり広がってない穴場なんだよ」
「そうなの?」
「うん」

そんな他愛のない話をしながら、足を進めた。

いつもならこんな会話が楽しくて話が弾むハズなのに、心の中にぽっかり穴が開いたように何も考えられなかった。

話はポンポン進むのに、私の意志ではないようでなんだか不思議な気分だ。

そんなことを思っていると、いつの間にかカフェに到着していた。

―――カランカラン

カフェのドアに手をかけると、素朴な音と共に軽くドアが開いた。