「い、嫌っ!」

するとその瞬間、リオはまたソファに座り込み、体を縮こませて耳を抑えた。

「リオ?どうしたの?」

私が尋ねるも、耳を塞いで泣いているリオには私の声が聞こえなかったようで、返事は返ってこなかった。

「ううっ、グスン……」

それでも涙は止まらないリオが心配になり、私は頭で考えるより先に体が動いて、リオのことを優しく抱きしめていた。

リオは私の急な行動に驚いたのか、ビクッと体を震えさせてゆっくりとこちらを見た。

リオの潤んだ瞳には、悲しさと恐怖の色が暗くてもはっきり見える。

私はリオの怖いという気持ちが少しでも和らぐように、ポンポンと背中を叩いてやる。

そんな体勢がしばらく続いていると、少しずつリオが落ち着いてきた。

「ほの…ちゃん。グスッ……ごめんね」

リオは申し訳なさそうに眉の端を下げてそう言う。

「ううん、大丈夫。何も言わなくていいからね。落ち着いたら教えて」

私がそう言うと、リオは安心したようにコクリと頷いた。

いつだったか、仲を深めるために出かけた時に感じたリオの逞しさは、今では考えられない程小さく弱弱しい。

「ほのちゃん……スンッありがとう。僕の過去、話させてほしい……」

私がそんなことを思っていると、リオは意を決したようにこちらを向いて、そう言ってきた。

「うん」

私は、リオの過去を聞く覚悟を決めてリオのことを見つめ返した。