獣人は、獣人の森を出ると力が弱くなって耳やしっぽの生えた人の姿になれないらしくて、なれなかったらしい。
だけど、昨日ソラを持ち上げたときに鼻同士が当たった瞬間に四人全員の力が強くなったそうだ。
力は今日の朝までためておくと四人で話し合って、今ここに至る。

「そうだったんだ……でも、ソラと私の鼻が当たったら力が強くなったってどうしてなのかな？」

私がそう聞いて皆を見回すけど、みんな無言で首を振るばかりだった。

「あと、僕らに獣人には人間の世界で使命があるんだけど……」

リオが勇気を出したように口を開いたが、なんといっていいかわからなくなったのかもごもご言い始める。

そんなリオをサポートするようにソラが口を開いた。

「獣人の森を出たら使命を達成するまで森に帰ることができないんだ。だから……俺たちをここに置いていてくれない？」

みんなもうんうんと頷く。

「もちろんいいよ！困ってるときはお互い様だからね！」

そう言ってからふと、自分が自己紹介をしていないことに気が付いた。

「えっと、改めまして、更室ほのかです。短い間かもしれないけどよろしくね」

流すように自己紹介をする。

けれそ、そんな私の自己紹介に、みんな真剣に反応してくれる。

「ありがとう。よろしく、ほのか！」
「……サンキュ」
「ほのかちゃん、ありがとうね。無茶ぶりだったのに。うれしいな」
「お世話になります。手伝えることは手伝うからね」

うれしくて、ついフフッと笑いが漏れてしまった。