「あ、あの…ミケ君、ありがとう」

横に立っていた星恋がもじもじしながらそう言う。

俺はその時にやっと星恋の顔がリンゴのように真っ赤になっていることに気が付く。

「?星恋、どうした?顔赤いぞ。熱でもあるのか?」
「あの……えっと…腕っていうか手、恥ずかしい…かも」

赤い顔を益々赤らめてそう言う星恋を見て、俺は勢い良く手を離した。

「すっ、すまん!気付かなかった!!」

俺がそう言うと、星恋は「だ、大丈夫……」聞き取れるか聞き取れないかくらいの声でぼそぼそ言う。

「そ、それより、何買おうか?どんなお店がいいだろう⁉」

星恋は恥ずかしかったのか、焦ったように話の的を変換させた。

「う~ん……三階のフロアって男物の店、多くなかったか?それより俺、お前の兄貴になんて会ったことねーから好みとかわかんねえんだけど」
「うん、それはそうなんだよね……でもさ、男の人の好みってずれてることあるけど、似てるじゃん。だから……ねっ」

星恋はそう言って明るく笑った。

俺は、こいつ元気な奴だなーなんて思いながら「分かったよ」と返事する。

「じゃあ三階行ってから案内板見ながら考えよっか」

星恋がそう言ったので、さっきと同じような返事をして、三階に到着したエスカレーターを降りた。

二人で案内板の前に立って地図を確認する。

「あっ!」

すると、星恋が何かを思い出したかのように大声を出した。

「どうした?」
「このお店、お兄が気になってるって言ってたところ。前に一緒に買い物来た時に言ってた」

星恋は地図内にある一つの店を指して、興奮気味にそう言う。

そこは、案内板にNew Openと書かれていて、下りのエスカレーターの近くにる雑貨屋だった。