星恋と話しながらマンションからショッピングモールへと繋がる道を歩く。

道の途中にあるマンションに近いコンビニの前を通り過ぎたとき、急に星恋が驚いたような顔をした。

「どうした?」

俺は不思議に思って星恋に問いかける。

「え……いや、なんか……」

星恋はそこまで言うと、眉を顰めて難しそうな顔をした。

「コンビニから芭音に似た人がこっち見てる気がして……」
「そうか……気のせいじゃねーの?」
「そうかも……そうだよね」

俺は一人自分を納得させるようにそう言う星恋を見ながら、内心なるほどと思う。

ほのかがあんなに引かずに頼んできたのも、芭音みたいな人がいたのも、きっと今日のこのお出かけに…星恋に何かが絶対関係している。

俺がそう考えていると、星恋が「どうしたの?気分悪い?」と尋ねてきた。

俺は普段なら絶対に使わない取り繕ったような笑顔を星恋に向けて「大丈夫だ」と言った。

それからまたしばらく歩いてショッピングモールに到着した。

それまでの道のりは、星恋がずっと話をしていたからか話題がなくなって空気が静かになることはなかった。

俺は星恋の話に相槌を打ったり応答したりしていたが、意識は違うところにあった。

それは、十数メートル後ろを距離を保ちながらずっと誰かが付いてきてるということ。

コンビニを過ぎたくらいは一人、そのあと何人か合流して4、5人になった。

俺はそんなことを思い出しながらチラリと星恋を見た。

俺は気配に敏感だから気づいたけど、この様子を見ると多分星恋は気づいていない。

が、俺たちを付けている奴らがここへ入ってすぐ、その後ろから人が流れ込むように入ってきた。

それのせいで人混みができ、離れ離れになりそうになったが、咄嗟に星恋の腕を掴んだ。

星恋が赤面していることにも気付かず、エスカレーターに乗って一息つく。