―――ピーンポーン

星恋とミケがお出かけする日、家のインターホンが鳴った。

星恋がやってきたのだ。

「は~い」
『ほのか~来たよ!』

インターホンの画面越しにそう言う星恋。

「ちょっと待ってー」

私はそう言ってインターホンを切った。

「ミケ~星恋来たよ」

そう言ってリビングのソファに座るミケに声をかける。

「ん」

素っ気なくそう返事したミケと共に、玄関へ向かった。

ミケには前日に、星恋の兄が誕生日で好みをあまり把握していなくて、男物の店に一人で入りにくいから星恋のプレゼント選びに付き合ってほしいと頼んだ。

勿論ミケからは「他の誰かに行かせればいいだろ」と文句を言われたが、ソラは私とゲームをしてモカとリオは散歩に行く予定があると他の三人が言った。けれど、拒否。
最終的には、行ってくれれば好きなもの買ってあげると言い、物で釣った。

それにミケは渋々と言ったようにOKしてくれたが、意外なことに耳やしっぽは楽しみという感情が爆発した動きをしていた。

そんなことを思い出しながらミケを見ると、玄関に行くまでの廊下でいつの間にか耳としっぽが消えていた。

玄関のドアを開けると、星恋が立っていた。

「こんにちは~今日はよろしくお願いします、ミケ君」

星恋はそう言いながら、ミケに向かって頭を下げる。

「あぁ。よろしく頼む」
「うん!じゃあ行こっか」

ミケと星恋は並んで歩いて行った。

私は二人がマンションの廊下の角を曲がったことを確認すると、ダッシュで他の獣人三人を呼びにリビングへ向かう。

「行ったよ!早く行こ!」

ソファに座って今か今かとタイミングを待っていた獣人三人は、バビュンと立ち上がり私のもとへ駆け寄ってくる。

リビングダイニングとキッチンの電気を消してリビングのドアをそっと閉めた。

玄関に着くと、私は傘立てにさしてある折り畳みの日傘を手に取った。

他のみんなはエッジの部分が大きいハットをかぶっていたり、サングラスをかけていたりする。

理由は日差し対策っていうのもあるんだけど、顔を見えにくくする意図もあるんだよね。