ミケがそれだけしか言わないから涙目で首をかしげていると、「背中、乗れば?運んでやる」とぶっきらぼうに、けれど優しく言ってくれる。

「いいの?」

ミケの負担にならないか不安に思ってそう聞けど、「ん」としか返してくれない。

恐る恐る背中に乗ると、立ち上がって一度背負いなおしてから歩き出した。

「お、重くない?大丈夫?」
「全然……つーかちゃんと食ってるかってくらい」
「本当?無理してない?」
「当たり前だろ」

そんな会話をしながらでも、ミケは涼しい顔で階段を上って行って、一番上まで来た。

近くにあったベンチに座らせてくれる。

「ありがとう、ミケ」

そう言ってミケに感謝を伝えた。

「別に。てか、横見てみてみろ。すっげー綺麗な景色だから」

ミケがそう言って私の左側を指さしたので、そちらを見ると、町全体が見える絶景が広がっていた。

「綺麗……」

感動しすぎてそんな言葉しか出てこない。

町全体を眺めていると、ミケが私の服をチョイチョイと引っ張ってくる。

「ここで昼飯食べようぜ。なんか買ってくるから金くれ」

そう言って手を出すミケ。

「分かった。ありがとう」

かばんから財布を取り出してミケに預ける。

「じゃあいってくるから、そこ動くなよ」

そう言ってミケは階段の方にかけて行った。

十数分間景色を眺めていると、ミケが「戻ったぞ~!」と言いながら私の元に走ってきた。

「ふぁみりーれすとらん?って書いてある店で、ていくあうとってやつしてきた」

そう言いながら私と人一人分開けて座って、その間にファミレスのテイクアウトしてきた食事を置いてくれる。

「あれ?これは?」

私はその横に置いてある小さいレジ袋を指さした。

「これは、ほのかが行きに説明してくれたコンビニで靴擦れ用の絆創膏買ってきた」

そう言って、レジ袋の中から絆創膏を取り出したミケ。