「ほのかー!そろそろ掃除してくれていいよー!」

さっきの健康診断の道具の片づけをしていると、お母さんがヒョコッと首だけ出してそう言ってきた。

「は~い」

そう返事したあとにパパッと片付けて掃除道具を取りに行く。

あっ、自己紹介遅れました。

私は更室(さらむろ)ほのか。動物が大好きで、どこにでもいる平凡な中学一年生!

私の両親は、私が物心つく前から動物関係の会社とペットショップを経営している。
ペットショップの一番上の階が事務所兼自宅になってるんだけど、物が多くて両親二人だけでも精一杯だから私は現在一人暮らし中なんだ‼

ペットショップはやっぱり大変みたいだから時間があるときはいつも手伝ってるんだ。

私、見た目がどちらかというと地味な方であまりパッとしないから友達は少数なんだけど、動物からはとっても好かれてるんだよ。
私がペットショップに行くと、みんな嬉しそうにしっぽを振ったり、目を輝かせて鳴いたり吠えたりして遊んで~ってアピールしてきたり……とってもかわいいんだ!

今は夏休みの始まりだから、朝にその日の分の宿題を終わらせて、お昼ご飯を食べてからペットショップに行ってお手伝いをする。
そんな毎日を夏休みの初日からずっとしています。

今日も今日とて、いつも通りお昼まで家で過ごして、お昼からはペットショップのお手伝いをした。

今日は犬のブラッシングをして、獣医さんの健康診断のお手伝いをした。
健康診断が長引いたからか、さっきやっと終わった掃除の時間がいつもより遅くなって、帰る時間が迫ってきていた。

急いでペットショップのスタッフの制服から着替える。

お母さんが先に帰ってしまったので、お父さんに挨拶しようとお父さんを探していると、犬、猫、ウサギ、リスが大きそれぞれ一匹ずつ入っている大きな檻を、台車に乗せて押していた。

「お父さん、どうしたの?その子たち」
「あぁ、ほのか。実は、珍しく動物がずっと売れ残っていてな……明日役所の人に引き渡すんだ」

私が声をかけると、お父さんが気付いて丁寧に説明してくれた。

「えっ!それって……殺処分ってこと?」

恐る恐る聞いてみると、お父さんは声を出さずに頷いた。