子を奪われた私が、再婚先の家族に愛されて、本当の母になるまで




 そして──

 「……おひとり、ですか? あの、もしよろしければ……」

 その声が、まるで遠い昔の春風のように、優しく私の心を揺らした。

 雨の中、差し出された傘の向こうにいたのは、漆黒の軍服を纏った若き領主。
 鋼のように凛々しい目と、どこか痛みを宿すまなざし。

 その人こそが、私の“再婚相手”となる男──
 エルヴァン・ヴォルディアだった。

 このときの私はまだ知らなかった。
 この人との出会いが、
 もう一度「母になる」という奇跡を、私にもたらすことになるとは──