「父?
このスペインの映画に出てきそうな小粋な伊達男が?」
明巳が啓介を見て言う。
「おい、窓閉まってるけど、聞こえてるぞ」
と啓介はちょっと文句を言う風に言ったが、小粋な伊達男というフレーズは気に入ったようだった。
窓を開け、ほたるは言う。
「小日向さん、なんでこんなところにいるんですか」
「小日向さん?」
と明巳が訊き返すのと同時に、
「たまたま通りかかったんだ」
と啓介が無茶を言う。
「お前の父親なのか?」
「はあ、ニセの父親ですが……」
「ニセの父親ってなんだ。
育ての親だろ」
「なんで小日向さんなんだ」
とまた啓介と明巳が同時にしゃべってよく聞こえない。
「……あなたがた、実は息が合っているのでは」
そうほたるは言った。



