「警備会社ですか?」
キッチンで久しぶりに会った夫にほたるはそう訊き返す。
ほたるは多めに作っていたドリアを明巳にふるまうことにした。
いや、単にドリアソースの試供品を会社でもらったので、スーパーでチーズを買ってきて、それをどさっとかけて焼いただけなのだが。
「そう。
庭に人が侵入した形跡があったから」
ワインを出してくれながら明巳が言う。
「え? 何処なんですか?」
「その辺の……」
と明巳は振り返り、キッチンの小窓を指さそうとした。
だが、その小窓に濃い男の顔が覗いていた。
ぎゃー!
と二人は悲鳴を上げる。
二人は手を繋ぎ、反対方向に駆け出そうとした。
「なんでそっち行くんですっ」
「なんでそっちに行くんだっ」
お互いがお互いの手を引いてやらねばと思ったようだった。
男が小窓を叩いてくる。



