ほたるたちは片付いたキッチンで、正秀とちょっと食事をした。
少しお酒の入ったじい、正秀は饒舌にぼっちゃまとの思い出話を語り、明巳が、
「いや、いいから。
もういいから」
と照れたように言っていた。
正秀をタクシーに乗せたあと、見送りながら、ほたるは言った。
「なんででしょうね。
結婚してから今までで、今日が一番、明巳さんを大切にしなければと思ってしまいました」
自分のことに忙しく、いまいち素っ気ない明巳の親より、あのじいやさんの方が親っぽい、と思ってしまったからだろうか。
「……俺が大切にされるのか」
と明巳は微妙な顔をしたあとで、
「ほたる」
と呼びかけてきた。
「はい」



