誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~

 玄関はダンボールなどが積まれていて、雑然とした感じだ。

 意匠を凝らした壁などもそのせいで見えない。

 嫁はなにをしているんだ。

 いや、早島のお嬢様が掃除をするとも思えないが、誰か雇えばいいのに。

 そう思ったとき、何処からともなく、掃除機の音が聞こえてきた。

 おや?
 メイドだろうか。

 もっときちんと掃除しろと言っておかねば、と思いながら、正秀は足を早める。

 掃除機の音が聞こえる部屋だけ明かりがもれていた。

 覗いてみると、そこはキッチンだった。

 メイドでもなく、早島の娘でもなく、大事なおぼっちゃまが掃除機をかけている。

「ぼっちゃまっ。
 なんということをっ!」

 ぼっちゃまと呼ぶのをやめたはずなのに、正秀は、つい、そう叫んでいた。