ぼっちゃまはちゃんと暮らしてらっしゃるだろうか。
人の上に立つには申し分ない方なのだが。
他人と暮らすとか無理なのではと思われる人格――。
少々、不安が残る。
じいやこと兎川正秀は大切にお育て申したぼっちゃまの家を訪ねてみることにした。
一応、鍵は預かっているものの。
独り立ちさせたいから覗くなと主人には言われていた。
夕刻。
玄関に立ち、チャイムを鳴らしたが、誰も出てこない。
なんだかんだで人のいい明巳が人から頼まれて買った邸宅だが、庭の手入れはあまりよろしくない。
嫌な予感しかしないな、と思いながら、正秀は、
「入りますよ。
ぼっちゃま……
明巳様」
と声をかけ、鍵を差し込む。
家庭を持った一人前の男をぼっちゃまと呼ぶのは、さすがにどうかと思い、呼び方を変えてみた。



