誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~

「すまないな。
 現金はあまり持ち歩かない主義なんで」

 この人の金銭感覚はどうなっているのかな……。

「うちの親はなんか美談を作りたいだけなので、ほんとうに私のことは放っておいてくださいね。

 では――」
とほたるは行きかけ、

「あの、どの部屋を使ったらいいですか?」
と訊く。

「俺の部屋以外なら、どの部屋でもいいが……」

 その俺の部屋が何処なんだかわからないが、と思いながら、ほたるは、ありがとうございます、と頭を下げた。

「明日の朝食などは――」

「俺のことはなにも心配しなくていい。
 好きに暮らせ。

 ああ、お前の口座を教えろ。
 金を振り込んでおく」

「あのー、あなたの食事の支度をしなくていいのなら、お金はお返しします。
 私の稼ぎでは足らないかなと思っただけなので」

「……お前の想定では、俺はなにを食べてるんだ?」