誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~

 



「やだ。
 セレブっぽい、すごいイケメン。

 誰?」

「……仕事で専務室に来てた人です」

 訊いてきた女の先輩に言い、ほたるは立ち上がる。

 ちょうどコピー機の近くにいた同期の心凪(ここな)が、すすすすっと寄ってきて小声で言った。

「ねえっ、もしかして、あれが旦那?」
「そう」

「やだっ。
 紹介してっ」

 ……今、旦那だと言わなかっただろうか。

「なんでわかったの?」
「なにか訳ありな関係に見えたからっ」

 なのに、紹介してとは、これ如何(いか)に。

 まあ、なにも本気ではなさそうだが。

 一瞬、気の迷いを起こしそうな美形ではあるな、と思いながら、ほたるは図面をコピーする。