誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~

 

 うわ~、噂通り、最低の男だ~。

 顔だけいいけど、とウエディングドレス姿のまま、ほたるは自らの夫となる明巳を見ていた。

 なんというか、人の心がない。

 そして、この家は足の踏み場もない。

 ちょっとビンテージな雰囲気も漂う素敵な家なのだが。

 家政婦とか嫌いな人らしく、家はジャングルだった。

「あの、私のことはお気になさらず。
 私もちょっと行き場をなくして、結婚しただけなので」
と言うと、明巳は、

 世の中、そんなこともあるのか、という顔をする。

「この家の何処かに生息していますから。
 給料日に思い出していただければ結構です」

「……金はいるのか」

「はあ、今、余分なお金は一円も持っていないので」
と言って、どんな花嫁だ、という顔をされる。

 わかった、と明巳は懐に手をやる。

「暮らしていける金はやるから、静かにこの家の中で暮らせ。
 これで十日は暮らせるか」
と財布の中にあった三十万くらいを渡してきた。