誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~

 有働というのが、彼女を育てた人間の名字なのだろう。

「それにしても、明巳くんと結婚するとは玉の輿じゃないかね」
「はあ、まあ、そのようですね」

「君は早島の一族だったのかね?」
「そうみたいなんですよね~」

「早島の誰の?」

「うちの父ですか?
 早島和雄さんです」
と他人の名を教えるような感じで、ほたるは言う。

「ああ、和雄さんね。
 そういえば、似てるね。

 僕の大学の後輩なんだよね、和雄さん。
 学部は違ったから、よくは知らないんだけど。

 まあ、モテてたみたいだね」

 和雄は今も、ほたるにちょっと似た整った顔立ちをしている。

 若い頃は繊細な感じの美形だったのではないだろうか。

 ……まあ、そのせいで、このような惨劇を生んだわけだが。

 いや、ほたるを見ていると、あまり惨劇感が伝わってこないんだが。