「私はあの家で育ってないんですよ」 優しい味のカレーを食べながら、そんなことをほたるは言う。 「養女だとか? 里子に出されたとか?」 「いえ、幼い頃、誘拐されたので。 あ、おかわりいかがですか?」 「……今のおかわり訊くのと一緒にしていい話だったか?」 「いや~、ちょっとその辺の記憶ないんで、私的にはあまり悲壮感はないんですが。 親のことを思うと、ちょっとありますね。 ……いや、あの親たちが、ほんとうのところ、どう思ってたのかはよくわからないんですけど」 とほたるは眉をひそめる。