帰ってすぐ連絡しようかと思ったが、ふと思いついてキッチンに寄ってみた。
普通の家は帰ったら、妻と自宅で食事をするものではないかと思ったからだ。
まあ、うちは普通の家じゃないから、いるわけもない、と思ったのに、ほたるはそこにいた。
いや、いただけなのだが。
なんだかそれだけで、ちょっと感動してしまった。
昔、晩ご飯をたまにご馳走になっていた、友だちのうちみたいじゃないかと。
「あ、おかえりなさい」
と言われ、明巳はちょっと緊張してしまう。
「……た、ただいま」
ほたるは、パカリと赤くまるっこい鍋の蓋を開けて言う。
「晩ご飯食べられました?
私、今からなんですけど、よろしかったら」
「いいのか?」



