「妻に告白しようかと思うんだが」
朝、若田が社長室に行くと、明巳は急にそんなことを言い出した。
え?
今ですか?
っていうか、すみません。
仕事してください、
と若田は思っていたが、明巳はスマホ片手に真剣だ。
「どう言ったらいいのかと思って、『妻に告白』で検索をかけてみたんだが。
妻に内緒でした借金を告白する方法とか。
浮気とか、隠し子とか。
ロクな内容が出てこない」
と明巳は言う。
「まあ、そうでしょうね……」
普通、結婚したあと、告白しないですもんね、と思いながら、若田は聞いていた。
「この間、初めて女性の手を握ったんだ。
恋なんじゃないかと思う」
中学生ですか。
ああいや、小学生ですか。
小学校低学年ですか、社長は、
と若田は思っていたが、明巳は真剣なようだった。



