誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~



「……それでずっと傾いたまま、握手してたんです」 

「お疲れ」
と二段重ねのアイスを食べながら、美春が言う。

 次の日、会社帰りにショッピングモールに行ったところで出会ったのだ。

 ふたりともたまたま、アイスの店の行列に並んでいた。

 店の前のソファが空いていたので、そこに並んで腰掛ける。

 後ろでは物産展をやっていて、子どもたちが駆け回っていた。

「明巳さんのそういうときに気づかないところが、可愛いような、間抜けなような……」

 まあ、ちょっとスマートじゃないわよね、と美春は呟く。

「どうしたんですか?」

 美春が明巳のことを悪く言うのに違和感を覚え、ほたるはそう訊いてみた。

「明巳さんの悪いところを見つけようと思って」
「悪いところですか?」

「明巳さんを思い切るためによ」

「……明巳さんに悪いところなんてありますかね?」

 抹茶とほうじ茶が積み重なったアイスを食べながら、ほたるは呟く。