誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~

 

 留子は明巳たちに缶入りの粉末レモンティーを淹れてくれた。

 甘い……。
 甘いのはあんまり好きじゃないんだが。

 なんだか、ほっこりする味だ。

 ほっこりする嘘くささというか。

 ……そんなこと言ったら、殴られるか。

「美味しい、おばあちゃん」
とほたるはニコニコしている。

 子どものころから、ほたるはこれが好きなんだそうだ。

 囲炉裏端で、このレモンティーを飲んでいる子どものほたるを想像すると、可愛らしすぎて、なんだか泣けてくるが。

 よく考えたら、この囲炉裏は数日前までこの家にはなかったんだったな、と明巳は思い出す。

 だが――。

「あの」
と明巳はカップを置き、床に両手をついた。

「ほたるをこんな風に、立派に育ててくださってありがとうございます」

 自分が言うのはおかしいかな、と思いながらも――。

 留子の声が下げた頭の上から聞こえてきた。

「ありがとう、明巳さん。
 あなたのような方に出会えて、ほたるは幸せだわ。

 ただ、そう……
 『こんな風に』育ってしまったのは、ちょっと気がかりだけど」
と呟いている。

 いや、こんな風って……
 決してマイナスな意味で言ったんじゃないですよ。

 まあ、相当変わってるかなとは思いますけど、と思う明巳の前で、ほたるは留子を、え? と見ていた。