「……ライオンに追われる夢を見ました」
「行くのやめるか……?」
日曜の朝。
ほたるは玄関で待ち合わせた明巳に恐ろしい夢の話をした。
「サーカスを見ていたら、檻からライオンが出てきて。
それはオスライオンなんです」
「そこ大事か……?」
「振り返ると、ショーに出ていなかったメスライオンが背後にいて。
逃げなければっ、と私が明巳さんをお姫様抱っこで逃げようとするんですが、重くて抱えられなくて、絶体絶命な夢でした」
「俺は自力で走らせろ……。
俺がお姫様抱っこしてやるから」
この間してやったろう、という明巳の車に乗り込む。
まだ新しい匂いがする明巳の車にちょっと緊張する。
今日は、まず、サーカスの午前の部を観に行って、そのあと、おばあちゃんの家をちょっと覗いて帰る予定なのだ。
……サーカスでライオンに襲われなければの話だが。



