誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~

「元妻が美味しいクッキーをもらったから、ほたるたちに持っていけって言うんで、持ってきたんですよ~」

 ここの人間関係もよくわからないな……、
と思ったとき、ほたるが電話に出た。

「あ、お父さん、私を産んだ方のお母さんに会ったんですけど」

 ほたるもまた不思議なことを言うな、と思ったが。

 そんなことより、『お父さん』とするっと、勢いでだろうが呼んでくれたことに感動した。

 ありがとう、小日向先生っ。
 本、図書館で借りて読んでてすみません。

 買いますっ、と和雄は思う。

「あ、そうだっ。
 お父さん、来るのなら、お豆腐買ってきてくださいっ」

 娘から頼まれたお使い嬉しいっ。

「わかった。
 百個でも、二百個でも買っていくぞ、ほたるっ」

 今まで可愛がれなかった詫びにっ、と和雄は力んで言ったが、

「……いや、二百個はいりません」
と冷静に娘は言ってくる。