誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~

 


 その頃、早島和雄は自宅の電話の前でウロウロしていた。

 娘夫婦が気になるが、自分などが電話をしていいのだろうかと思い、かけたことはなかった。

 今日こそっ、と思い、迷いながらもかけてみたのだが――。

 いきなり、
「はい、もしもしー」
とちょっと素っ頓狂な男の声がした。

「もしもし、えーと
 ……おい、苗字はなんだ?

 あ、そうかっ。
 早島です」

「早島じゃないですよ」
とほたるの声がする。

 感慨深く、和雄は思う。

 ほたる、お前が早島だったのは、一瞬だったな。

 あと、その男は誰だ……。

「京塚ですよ」
とほたるが教え、

「あ、京塚です」
と男が答える。

「……私はほたるの父、早島和雄です。
 君は?」

 明巳ではないはずだ。

 後ろで、何故か、
「すごいぞ、俺っ。
 史上最強上手く肉が焼けたっ!」
と騒いでいるのが、明巳のはずだからだ。